ビジネスで使える将棋用語

過去のブログからの転載です。

チェスが西洋における「考えるスポーツ」だとすると、将棋は日本の「文化」です。(羽生さん曰く)

将棋は日本における数百年の歴史の中で育まれ、その過程で様々な「将棋用語」が生まれてきました。
盤上の格闘技とも言われる激しい対人戦でありながら、礼を重んじる文化の中で、非常に奥ゆかしい言葉が多くなっています。
これらの用語は将棋独特のものながら、格言として発展しているものあり、ビジネスで用いるときっと格調の高い雰囲気が出るでしょう。

ビジネスの場で使える将棋用語を、用例と共に紹介します!

ビジネス将棋

・筋、筋が良い

筋とは、将棋を大局的・理論的に判断した場合に、最も理にかなった指し手のこと。筋がよいと言えば大局観にすぐれていて感覚が鋭いこと。

・手筋

パターン化された攻め・受けの手順。

・無理筋

本筋、すなわち正しい手順から外れた、相手が正しく応じれば不利になる手順。

【使い方】
「このプロジェクトの進め方は筋が悪いな。」
「でもまずはデータを集めるのが手筋でしょ。」
「だからと言って、一面的なデータだけで主張するのは無理筋だ。」

・局面

駒の位置、状態の総体。

・大局観

的確な形勢判断を行う能力のこと。

【使い方】
「君の言動は局面が見えてないな。」
「先輩の大局観もどうかと思いますよ。」

・厚い

王の周りに駒が集まっていること。厚みとも。反対に駒が少ない状態の事は薄いと言う。

・遊び駒

攻めにも受けにも役に立っていない駒。

【使い方】
「さすがに重要なプロジェクトだから、人員配置が手厚いな。」
遊び駒が多いだけに見えますけど。」

・形勢

対局の状況。駒の損得や囲いや駒の働きなどを総合した有利不利の差。

・勝勢

勝つ可能性が非常に高い局面。

・優勢

形勢判断の基準で、有利より良く勝勢まであと少しの状態。

・有利

形勢判断の基準で、良くなった最初の段階。

・勝ちやすい

明らかに有利と言うほどではないが、完全に互角と言うよりはなんとなく有利である感じ。その状態。

・~持ち

互角かもしれないが、客観的な判断はさて置き、自分だったら~側が有利だと思う。~側を持って指したいという意味

【使い方】
「営業部長と経理部長の争い、君は形勢をどう見る?」
「先日のMTGで、経理部長の優勢から勝勢に変わったんじゃないでしょうか。」
「そうか、でも僕は営業部長を持ちたいな。」

・悪手

形勢が不利になるような指し手。

・緩手(かんしゅ)

もっと早い手や厳しい手を指すべきところで指された、緩い手、ぬるい手、良くない手。疑問手よりは悪くない。

・疑問手

良くない手。もっと良い手があったのではないかと思われ、悪手の疑いが強い手であるが、悪手と断言するには至らない。が、緩手よりは悪い。

・この一手

他の指し手を選ぶ余地がないこと。必然的に指し手が決まっていること。「盤上この一手」ともいう。

・最善手

考えられる指し手の選択肢の中でもっともよいと思われるもの。

【使い方】
「営業部長の利益に終始した説明の仕方は悪手だったね。」
「経理部長の反論の仕方も緩手だったと思いますよ。ここは社長にネゴる一手でしょ。」
最善手を指し続けるのは難しいものだよ。」

・受ける

相手の攻めを防ぐこと。

・受け切る

最後まで正しく受けて詰みを免れること。

・受け潰し

攻めては勝てない時などに、受けに回って相手の攻めを切らす(続かない様にする)、または手も足も出ない盤石の態勢に持っていくこと。受けに相当の実力を要する。

【使い方】
「経理部長の受け方はさすがですね。」
「相手の主張を聞き切ってから受け潰す立ち回りは見習いたいよ。」

・実戦的には

「実戦では」の意。たとえば「この局面は先手が有利だが実戦的には大変」という文は「この局面は先手が有利だが、実戦では持ち時間の制限や読み間違いや囲いの差や駒得などの要素もあるため、まだ逆転の可能性がある」を意味する。

・勝負手(しょうぶて)

(おもに形勢が不利な側が指す)大胆で勝敗を決しようとする手。まぎれを求める手のことを言う場合が多い。

【使い方】
「営業部長のMA提案は勝負手に出ましたね。」
「まだ経営部長が優勢だと思うけど、実戦的には大変だよ。」

・味

今すぐではなく後で効果が出るような駒の配置。

・味消し

いつでも指せる手をベストではないタイミングで早まって指してしまうこと。<例>「ここで質駒の金を取ったのは味消しだった」

【使い方】
「MA前に資本を入れる案は、味を残す妙手ですね。」
「逆に経理部長の反論は、味を消してしまう結果になったな。」

・第一感

最初に思いつく手、局面を見た瞬間にうける印象。

・一目(ひとめ)

第一感と同義。副詞的に「この王手は一目取っても詰みませんね」のように用いる。

・一局

将棋の1ゲームのこと。
ある手順について、別の有力な手順や可能性を指して「ここで手抜きして攻め合っても一局の将棋ですね」など。

【使い方】
「次の経理部長の反論、先輩の第一感はどうですか?」
「統合シミュレーションを用意するんだろうけど、一目厳しいよね。」
「営業部長が話しを聞いたところで、一局(の将棋)といった感じですか。」

・詰めろ

王手や詰みではないが、受けの手を指さなければ相手の次の手から王手の連続で玉が詰む状態。

・必至

詰めろの内、それをほどけないもの。どう受けても次に玉が詰む状態。

・頓死(とんし)

最善手で対応していれば詰まなかった王手に対し、応手を間違えて詰まされてしまうこと。または詰めろをうっかり見落としたために詰まされること。

・投げる

投了と同義。自分の玉が詰んだか、相手の玉を詰ませる手が無くなり確実に自分の玉が先に詰むと判断した場合に負けを宣言すること。

・形作り

自分の玉が詰まされ負けることをわかっていて、相手の玉に詰めろをかけて、一手違い、いい勝負であったとの局面を作るなどの手を指すこと。

【使い方】
「前回の役員会議で、経理部長には詰めろがかかってしまった感じですね。」
「必至と言ってもいい状態だろう。営業部長の頓死がなければ終局だよ。」
詰みが見えているなら、経理部長は早く投げてしまったほうがいいですかね?」
「ここから先は形作りに過ぎないね。」

以上、ビジネスで使える将棋用語を紹介してきました。
いかがでしたでしょうか?

皆さんも明日から将棋用語をビジネスに使ってみてください!

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