光の速さってご存じですか。
2.99792458×10^8(m/s)です。
点以下8桁で覚えやすいので、なんとなく覚えてます。
でも、何故正確に8桁なのか、近似じゃないのか、疑問に思いませんか。
光速の値は近似ではなく、
正確に2.99792458×10^8(m/s)です。
何故こんなに正確かというと、定義だからです(笑
といっても、光速を2.99792458×10^8(m/s)と定義したのではなく、
1メートルを、1秒の299 792 458分の1の時間に光が真空中を伝わる距離として
定義しているのです。(SI単位系)
もちろん、昔からそんな定義だったわけではなく、
70年代までは、
1メートル=地球の北極から赤道までの子午線の長さの1000万分の1
として、メートル原器を作成。
そのメートル原器を正確なメートルと定義して、複製を各国に配付してました。
ところで、上記メートルの定義には、定義の中に秒(s)の定義が含まれていますが、
秒の定義は別途独立になされているので、問題ありません。
1秒は、「セシウム133(133Cs)の原子の基底状態の2つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の91億9263万1770倍に等しい時間」と定義されています。
何故にmもsも、こんなややこしげな定義にしているかというと、
原器のようなものを使わずとも、どこにいても現示することのできる普遍的な定義が求められていたからです。
SI単位系は、7つの単位から成りますが、どれも普遍的に定義されるようになっています。
ところが、現在でも原器を用いて定義されている単位があります。
それが、重さ(kg)です。
1kgの定義は、「国際キログラム原器の質量」です。
この国際原器を基に複製が作られて、各国に配付・保管されています。
国際キログラム原器の質量は、表面吸着などの影響により、年に0.1μg程度増加しているそうです。
1980年代に42年ぶりに国際キログラム原器の洗浄が行われましたが、これにより国際キログラム原器の質量は約60μg減少したそうです。
・・なんとも原始的ですよね。
実は、当初はキログラムも普遍的な定義がされていたのですが、
その定義が、
1kg=1立方デシメートルの蒸留水の質量
つまり、学校で習ったように、1ℓの水の重さってやつですね。
この定義も、定義の中にメートルが含まれていますが、
体積(→メートル)の定義が独立になされているので、水の密度が正確に求まれば問題なさそうです。
しかし、水の密度は温度(K)と圧力(Pa)の関数です。
温度(K)は独立の定義がなされているので問題ないのですが、
圧力は、平方メートル(面積)当たりのニュートン(力)です。
そして、ニュートンは1キログラムの質量を毎秒毎秒1メートル加速する力。
すなわち、kg=f(水の密度、m)
=f(K、Pa、m)
=f(K,N/m^2、m)
=f(K、m、N)
=f(K、m、kg・m/s^2)
=f(K、m、s、kg)
kgの定義にkgを使っているという、
笑ってしまうくらいの循環定義です。
循環定義とは、例えば、
どんぐりとは?樫の木になる種。
では樫とは? どんぐりから育つ木。
すわわち、どんぐりとは、どんぐりから育つ木になる種。
と、どんぐりを知らない人には無意味な定義のようなことです。
人類の英知が集まったはずの、国際単位系会議において、
こんな循環定義がなされてしまったこと。
現在でも「国際キログラム原器」様が、大切に保管されていること。
想像すると面白くないですか?