究極理論 theory of everything

※昔のブログから転載です。

熱力学が嫌いだ。
なぜなら美しくないから。

って話を同期としました。
物理の理論は、美しくなければならないと思う。
例えば、ニュートン力学ってのは、かなり綺麗な理論だと思う。
要請されているのは、3つ(4つだっけ?)の原理だけ。

そこから、全ての公式が導かれている。
そして、それらは現実の世界をかなりの範囲で説明できる。

量子論や相対論の範囲で説明しきれてないから、ニュートン力学は不完全な理論だ!
とかいうのは、ナンセンスな意見だと思う。

ニュートン力学は、我々の身の回りの事象を対象に作られていて、その範囲ではかなりの精度で正しいことが(実験で)証明されている、数学的にも完結している、完全な理論だ。


物理の理論がどのように構築されるべきか・・

まずは、公理を要請(仮定)する。
その公理から数学的に様々な展開をしていって、物理の理論を構築する。

この段階では、どんな理論でも構築可能だ。どんな公理を仮定してもいいし、それに依ってどんな理論も構築され得る。
そして、それが実験によって正しそうなものだと証明されることによって、その公理は、即ちその理論は正しいものだと証明される。

という風に出来たら、すごく綺麗だし、自分的には納得できる。
いや、もちろん反対意見はたくさんあるだろうけど、僕は物理はこうあって欲しいんですよ。


一番好きなのは、電磁気です。

マクスウェルの方程式
∇・E=ρ/ε ∇・B=0
∇×E=-B’ ∇×B=E’/c^2+μJ
の4つだけを仮定してしまえば、あとは、重力以外の全てについて記述することができる。

相対論との絡みの部分とか、ものすっごい美しいです。
それに比べて熱力学はどうか。
どこまでが経験則で、どっからが導出された公式なのかはっきりしない。

あくまで経験則のはずなのに、PV=nRTとかいう式を、あたかも完全な武器のように振りかざして。

統計力学も嫌い。
近似ばっかりで、どこまでが本当に正しい理論なのかはっきりしない。
かと思うと、途中から熱力学の式を使いだして、イライラしてくる。
って話を今日してたら、同期の東大Drの人が、「そんなことないよ、熱力もちゃんとやれば綺麗な理論なんだよ」っつって、この本を貸してくれました。



パラパラーって見てみたけど、結構面白そうな本です。
同じものを見てるはずなのに、視点によって、汚く見えたり、美しく見えたり。面白いですね。

ところで、この著者は、究極理論、theory of everythingの存在には否定的な立場みたい。

「様々な普遍的な構造と、それらの間の関係の総体こそが、基礎科学なのではないか。
普遍的な構造の網が、様々な現象を覆うようになっていく。」
だって。

僕は究極理論、肯定派です。
1つの究極理論というものが存在し、それによってこの世界の全ては記述することができる。既存の理論は、その究極理論の近似理論なのだと思う。ってか思いたい。

でも、どっちにしても、完成するものは同じなんですよね。考え方や価値観の違いに過ぎず。トップダウンが好きか、ボトムアップが好きかってのと同じと思う。
僕は何をするにもトップダウンのほうが好きです。

でもやっぱり物理屋(特に理論屋さん)は、究極理論とか、夢とかロマンとかを追いかけて欲しいなって思います。
理論屋が、好き勝手に理想の理論を作ってみて、それを実験屋が否定してって、物理全体が成長していく、みたいな。

僕は勝手にそんなんが理想だと思ってます。



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